「株式会社NEXTは上場しているの?」採用サイトを見た求職者からこんな質問をもらうことがあります。答えは、非上場です。ただし、これは企業が経営難に陥っているからではなく、むしろ逆。
上場しないという戦略的な選択が、この企業の競争力を支えているのです。東京・芝大門に本社を構える株式会社NEXTは、2015年の設立からわずか10年で、海外輸出・物流業界で確かな存在感を発揮している企業です。60名の従業員体制ながら、900名を超えるパートナー企業とのネットワークを築き、年々の成長を続けています。
では、なぜ上場しないのか。そして、非上場であることがどのような経営的メリットをもたらすのか。品質管理と物流という実務の最前線から見えてくる、この企業の経営戦略を掘り下げてみましょう。
上場しないという「強み」―なぜNEXTは非上場を貫くのか
よく誤解されることですが、上場していない=経営が不安定、という図式は成り立ちません。むしろ、上場しないことを戦略的に選択している大企業は数多くあります。サントリーホールディングス、竹中工務店、YKKといった業界トップクラスの企業たちが、経営の自由度を優先して非上場を貫いています。
NEXTもこれと同じ選択をしています。ただし、そこに隠された理由を理解するには、上場企業が背負わされるコストと制約を知る必要があります。
年間2000万円以上、その費用は従業員へ
上場を維持するには、どれだけの費用がかかるのか。毎年の上場料、監査法人への支払い、証券会社への費用、株主総会の運営費、有価証券報告書の作成……これらを合算すると、年間2000万円以上の資金が企業外部へ流出します。NEXTが非上場である理由は、シンプルです。
この2000万円以上を、すべて従業員の待遇向上に充当したいという経営判断なのです。実際、新卒採用時の給与は月給30万円~40万円程度ですが、2年目から年収1000万円を目指すことも十分現実的な報酬体系が用意されています。これは、上場企業の平均年収671万1000円(2024年度、帝国データバンク調査)を大きく上回るポテンシャルです。
東証プライム上場企業の763万3000円と比較しても、成果に応じた評価の仕組みがあれば、それを超える待遇が可能な環境なのです。さらに目を引くのは、細かな配慮の数々です。皆勤手当1万円、配偶者手当1万円、子ども1人につき月1万円の手当。
ベビーシッター補助、交通費全額支給。こうした制度ひとつひとつが、年間数百万円単位の企業負担になります。上場企業では株主への配当を優先せざるを得ず、こうした手厚い施策は実現困難です。
非上場だからこそ実現できる従業員重視の経営、それがNEXTなのです。
意思決定のスピードが競争力を決める
品質管理と物流の世界では、迅速な判断が致命的な差を生みます。これを最も肌感覚で理解しているのは、実際に現場で働く人たちです。海外輸出で重要なのは、品質を維持しながら納期を守ることです。
船便の遅延、通関の問題、現地での気候条件による品質変化……こうした課題が日々発生します。その時、経営層は素早く判断を下す必要があります。上場企業ではどうするか。
株主総会を開き、不特定多数の株主から意見を伺う必要があります。それまでに月単位の時間が要することも珍しくありません。その間に、ビジネスチャンスは失われ、品質管理の機会も逃げていきます。
NEXTは株主総会のプロセスが存在しません。代表取締役・鈴江将人氏が、現場の声を聞きながら、その場で判断を下せます。これは、競争の激化した海外市場では、極めて大きなアドバンテージなのです。
海外市場での品質戦略、秘密兵器は「非上場」
さらに重要な点があります。上場企業は、有価証券報告書で経営戦略の詳細を開示する義務があります。競合他社も、その情報から学び、対抗策を練ります。
しかし、非上場であれば、自社の品質管理体制や物流システムの秘訣を競合に開示する必要がありません。どのような品質基準を設定しているのか、どのようなルートで商品を輸送しているのか、それらはNEXTの戦略的優位性として保護されます。それが、Makuakeでの推奨企業認定やテレビ出演といった実績につながり、取引先や顧客からの信頼を獲得する基盤となっているのです。
成長戦略が「非上場」を選ぶ理由
ここで誤解を招きやすい点をひとつ明確にしておきましょう。NEXTは「上場できない小さな企業」ではなく、「上場できるのに、敢えてしない企業」です。
「いつでも上場できる」成長スピードの維持
設立10年で売上45億円を達成し、900名を超えるパートナー企業とのネットワークを構築した。これは上場企業の監査役や証券取引所から見ても、十分に「上場基準を満たす成長企業」と評価されるレベルです。なぜなら、短期的な株価に惑わされない経営判断が可能だから、かえって健全で持続的な成長が実現できるのです。
EC市場は年5%の成長率で拡大しています。この市場変化に対応するには、機敏な経営判断が欠かせません。新しい販売チャネルへの投資、物流パートナーの拡充、品質基準の上方修正……こうした施策は、中長期的には利益を生みますが、短期的には企業のコスト増につながります。
上場企業ならば、株価に一喜一憂する市場の声に押され、こうした投資を躊躇するかもしれません。しかし、NEXTは株主という「外部の声」に煩わされず、確信を持って投資を続けられます。その結果、市場の変化に誰より早く対応できる企業として、存在感を高めているのです。
円安の進行も、輸出企業にとっては大きなチャンスです。このタイミングで積極的に海外営業を強化し、物流体制を拡充する判断も、非上場だからこそ素早く実行できます。
経営の一貫性が信頼を生む
品質管理の世界では、長期的な信頼関係が資産です。取引先企業は、その企業がどのような哲学で経営されているのかを見ています。敵対的買収(TOB)のリスクがなく、経営権が安定しているNEXTは、「この企業とは、長く付き合える」という確実な信頼を与えることができます。
非上場企業は経営権が安定しているため、経営理念の一貫性を保つことができます。これが、物流パートナー900名との長期関係構築につながり、最終的には商品の品質維持と納期遵守という最大の課題を解決する力になっているのです。
物流・品質管理における「非上場だからこそ」の強さ
品質維持にはコストがかかります。それは、短期的には企業の利益を圧迫します。しかし、顧客満足を最優先とする経営姿勢を貫けば、長期的には顧客ロイヤルティとなり、リピート率へ反映されます。
上場企業は、この「長期的利益」よりも「短期的利益」を優先する圧力にさらされます。株価を支えるために、今期の利益を少しでも増やさねばならない、という圧力です。NEXTはその圧力から自由です。
品質維持に必要な投資は、躊躇なく実行できます。その結果が、信頼度の高い企業評価へとつながり、新規顧客の獲得や既存顧客との関係強化につながっているのです。
「現場発の経営」が可能な体制
もう一つ、物流や品質管理を担う企業にとって極めて重要な点があります。それは、現場の声がダイレクトに経営に反映される体制の構築です。品質管理に従事する従業員は、毎日、複雑な課題と向き合っています。
「このやり方では品質が落ちる」「物流ルートの変更が必要だ」「新しい機器への投資が急務だ」……こうした気づきが、経営改善の宝庫なのです。非上場企業では、こうした現場の提案が、直接経営層に届きやすい環境があります。代表取締役が現場視察を定期的に行い、従業員とコミュニケーションを取り、その場で判断を下す。
こうした機敏性が、品質管理と物流の世界では極めて大きな競争優位性なのです。
NEXTが実現する「次の時代の待遇」
非上場企業の経営者が最も力を入れるべきことは何か。それは、従業員の成長機会の創出です。
多様なキャリアパスが用意された環境
NEXTには、ユニークな制度が複数存在します。「大人の社会科見学制度」があります。年1~2回、従業員と家族が参加でき、旅費交通費は企業が負担するというものです。
これは、単なる福利厚生ではなく、視野を広げ、チームの絆を深めるための投資です。「出戻り制度」があります。一度退職した人が再び戻りたいと思ったとき、その道が開かれているということです。
これほど従業員を信頼し、尊重する企業は、実は珍しいのです。「社内起業制度」があります。固定給も支給される中で、新しいビジネスを立ち上げるチャンスが与えられます。
これは、従業員の起業家精神を引き出し、企業全体の活性化につながります。定期的な飲み会補助(1人5,000円)やコーヒー、エナジードリンク、お茶、お水の飲み放題といった、細かくも大切な配慮も、職場の雰囲気を左右するものです。
成果だけでなく「プロセス」を評価する人事制度
多くの企業では、成果主義を掲げながら、実際には成果だけを評価しています。その結果、短期的な結果を求めて、長期的な質を放棄する人が出てきます。NEXTは、成果とともに、そこに至るプロセスもしっかり評価するという姿勢を持っています。
これは、品質管理と物流の実務では極めて重要なのです。なぜなら、「結果は同じでも、その過程で無理が生じれば、次の仕事の質が落ちる」からです。従業員は、「短期的な成果のために長期的な信頼を失うような判断」を避けることができます。
それが、持続的に高い品質を保つための基盤となっているのです。
なぜ今、NEXTを選ぶべきなのか
転職を検討している人の多くは、「この企業で働き続けることに価値があるのか」という問いを持っています。それは、給与だけではなく、成長機会、働き方の自由度、経営哲学への共感といった複合的な要素で判断されます。NEXTが非上場であることは、これらすべての点で、明確なアドバンテージになります。
上場企業では実現困難な、手厚い従業員配慮。品質や物流といった実務の最前線で、経営判断の速さを肌で感じながら働ける環境。2年目で年収1000万円を目指せる、成果がダイレクトに報酬に反映される仕組み。
そして何より、経営層が従業員の声に真摯に耳を傾け、短期的な利益よりも長期的な企業価値と従業員の幸福度を優先する、という哲学が一貫している企業なのです。品質管理や物流に携わり、「実務を通じて経営に参画したい」と考える人、「成長と配慮のバランスが取れた企業で働きたい」と考える人にとって、NEXTは選択肢として十分検討する価値があります。非上場という選択が、上場企業を超える待遇と機会を生み出している。
その現実を、まず知ることからはじめてみてください。
